開発ストーリー
山本食品では、「わさびを、もっと、おもしろく。」を企業コンセプトに考え
本気のわさび、驚きのわさび、新しいわさびを世の中に、
「そう来たか!」と思わずぽんっと手をたたいて笑みがこぼれるような、そんな商品を目指しています。
その中で開発した鋼鮫の知られざる想いとストーリーをご紹介します。
- 稲村:
- 最初は飲み屋さんでの話から始まったんですよね。
- 野田:
- そうそう、本わさびの一番旨い食べ方って鮫皮?みたいな感じで。
おろし金って金属だし、もしかしてエッチングの技術でできるならすごいものができるんじゃないかって。
で、あれこれ言ってたら、「じゃあ作っちゃえばいいんじゃない?」ってなって。 - 山本:
- まあそこからが大変だったわけなんだけどね(笑)
思いついちゃったらもう、わさび屋としてはやりたくなっちゃうじゃない。365日わさびのこと考えて生きてるからね。
本わさびを究極においしく食べる方法で、鮫皮を超えるものがあるのかと。あるならやりたいよねもちろん。 - 野田:
- で、作っちゃったと。
- 稲村:
- でも山本さんが気にされる程大変じゃなかったんですよ。いや大変じゃなかったって言うのも嘘になるけど、
すごく楽しかったから。最初は鮫皮模様をステンレスで再現しようとしたんですよね。
何パターンも柄を試して、でもどれも上手くいかなかった。 - 山本:
- 柄もエッチングの深さもあれこれやったよね。それで方向性が違うんじゃないかということになって。
- 野田:
- もともと小林金属製版所は金属銘板の会社だもんね。
- 稲村:
- そうなんです、文字を表現するのが仕事なので、まあ初心に戻ったというか。
- 山本:
- ローマ字の「WASABI」とかも試したよね。でもそれもダメだった。上手くすりおろせない。
その時はとにかく作って試して、作って試して、もう何枚作ったのかな?わからないくらい。 - 稲村:
- ひらがなの「わさび」でできそうだなってなった時は、ものすごく嬉しかったですね。
でもそこからさらに長かったですけどね。
ひとことで「わさび」って言っても、フォントも色々あって、文字の大きさとか、形とかもそれぞれなので。
さらにエッチングをどのくらいの深さにするかもありますしね。
作って試すしかないので、またさらに色々作って、まさに試行錯誤でした。 - 山本:
- 「わさび」の文字が、どうしてあんなにクリーミーで辛みが立つ味わいになるのか、発見した時は最初は理由もわかんなかったよね。
で、上下左右に空きがあるからじゃない?って言われてあああーってなった。
そうか、空気とわさびの混ざる入口と出口がちゃんとあるからだと。
すってみると、本当に口当たりがすごくクリーミーで、「ちゃんと辛い」んだよね。
わさびってそのままかじってもそんなに辛くないんだよ。 - 野田:
- えっ?そうなの。
- 山本:
- 空気とすりおろしたわさびが混じりあって、はじめてちゃんと「わさび」らしいわさびになるんだよね。
鮫皮もおいしいけど、鋼鮫はさらに一歩進んで上品な口当たりなのにすごく辛いんだよ。
すりおろすのに少し時間はかかるけど、そこがまたいいんだよね。コーヒーみたいなもので、ゆっくりじっくり、わさびと向き合える。 - 稲村:
- ちゃんとおいしい、って現代ではもう貴重なのかもしれないですよね。
- 山本:
- わさび屋としては、そういうところもきちんと伝えていきたいところだよね。
きちんと時間をかけて、きちんとおいしいものを食べる文化がなくならないように。
普段料理をしないお父さんとかが、鋼鮫で休日に食卓の主役になったりしたら嬉しいなあ。